私たちが取り組んだ裁判

●三和サービス事件

2009年3月18日津地裁四日市支部
2010年3月25日名古屋高裁
(事案の概要)
・もとは、中国人技能実習生たちが仕事をボイコットしたため会社の縫製部門が取引先を失い、廃業にまで追い込まれたとして、会社が中国人技能実習生たちを解雇した上で、損害賠償を請求してきた事件です。
・中国人技能実習生たちは、会社で長時間残業を強いられたにもかかわらず、最低賃金法に従った賃金を支払われなかったとして、逆に未払賃金と付加金を請求し、さらに解雇が無効であるため、予定通りの期間まで賃金を支払うよう請求しました。
(裁判所が認めたこと)
・裁判所は、会社の技能実習生達に対する損害賠償請求権は、棄却しました。
・中国人技能実習生達からの未払賃金請求については、最低賃金法の適用を認めて、未払賃金を支払うよう命じました。津地裁四日市支部判決によれば、本件では、そもそも外国人研修制度の要件を満たしていないことに加え、①研修での作業が、雇用契約に基づく作業と全く異ならないこと、②禁止された時間外研修を長時間にわたり行ったこと、③原告には技能実習生が労働者と区別される存在であることの認識がなかったことなどから、外国人技能実習生として滞在した期間についても、技能実習生達は、最低賃金法に規定する労働者として最低賃金法の適用があるとされました。
 裁判所が外国人技能実習生に労働者性を認めた全国初の裁判です。

 

●天草プラスパアパレル事件

2010年1月29日熊本地裁
2010年9月16日福岡高裁
(事案の概要)
・中国人技能実習生らが、第2次受入れ機関(受入企業)に対し、旅券・預金通帳等を強制管理されたこと、最低賃金以下での長時間労働を強いられたこと、暴言を吐かれたことなどの不法行為につき慰謝料等の損害賠償を請求し、第1次受入れ機関や国際研修協力機構(JITCO)に対しても、指導・監督すべき義務を怠ったとして、損害賠償請求を行い、さらに最低賃金法を下回る賃金しか受け取っていなかった点につき、最低賃金法に従った賃金の支払い等を求めた事件です。
(裁判所が認めたこと)
 熊本地裁は、旅券預かり行為、預金口座の無断開設と預金の払戻し、預金通帳・印鑑の管理行為、長時間労働への従事は、全体として見た場合、技能実習生らの人格権を侵害するとして慰謝料等の損害賠償請求権を認めました。また、最低賃金法の適用を肯定し、未払賃金と付加金の支払を命じました。
 また、第一次受入れ機関についても、違法な旅券管理行為継続の原因を作出し、第二次受入れ機関に対する監査・指導義務に違反したとして、その不法行為責任を認めました。
 もっとも、JITCOについては、技能実習生等の法的権利を確保する法的義務の存在が認められないとして不法行為責任を否定しました。
 福岡高裁も、熊本地裁の判決を支持しました。

●徳島製材労災事件

2011年1月21日徳島地裁
(事案の概要)
 中国人技能実習生が受入企業において製材作業に従事していた際、機械に腕を巻き込まれ、右腕を切断しなければならない事故に遭ったため,技能実習生受入契約に基づく安全配慮義務違反及び不法行為を主張して、受入企業に対し、逸失利益、慰謝料、弁護士費用等の損害賠償を請求した事件です
(裁判所が認めたこと)
・裁判所は、受入企業に対し、高い危険を伴う作業を行わせるに当たっては,安全に関する十分な指導,教育を行うとともに,それを十分に理解しているか確認するために,指導したとおり安全に作業を行っているか監督できる体制を整える安全配慮義務があるとし、当該事案では、機械の故障の際はは、指導員に知らせるよう指導した上で,指導員において修理するか,又は,指導員の指導の下で原告に修理をさせるべきであったにもかかわらず、これをしなかったとして、受入企業の安全配慮義務違反を認めました。
・逸失利益については、現在における中国と日本の賃金水準等の差からすれば,将来における中国経済の発展の見込みを考慮するとしても,日本の平均賃金をそのまま用いることはできないとして、日本における平成20年の賃金センサスの産業計男性中学卒全年齢平均の3分の1を算定の基礎にしました。
・慰謝料も、中国と日本との物価水準や所得水準等の経済的事情の相違を考慮せざるを得ないとして、日本人に比して減額しました。

●デーパー加工サービス事件

2011年12月6日東京地裁
(事案の概要)
外国人研修・技能実習制度に基づいて来日し、被告の寮に居住しながら業務に従事した原告らが、労基法3条違反を主張して、支給された研修手当等の額と日本人従業員の賃金との差額等の支払を、また、賃金からの寮費控除は同法24条1項違反であるとして、控除相当額の支払等を、さらに、原告らのパスポート及び通帳の取り上げ並びに人種差別発言に対する損害賠償を求めた事案において、本件賃金の差は、なお合理的範囲内にあるとして、労基法3条違反等を否定したものの、原告らは研修期間中も「労働者」に当たり、最低賃金法が適用されるから、最低賃金に達しない研修手当に関する定めは無効となるとして、最低賃金との差額の支払を認め、また、寮費控除は労基法24条1項には反しないものの、日本人従業員の寮費負担額以上を控除することは同法3条違反であるとして、賃金請求を認め、さらに、原告らに対するパスポート等の強制保管並びに不快な漫画の提示等は不法行為に当たるとして、請求を一部認容した事例(本訴)
(裁判所が認めたこと)
研修期間における研修手当と最低賃金との差額分の賃金支払請求が認められた事例
3 技能実習期間中に賃金から控除された寮費の額と日本人従業員の寮費の額との間には許容し難い著しい格差があり,当該控除は労基法3 条に違反し無効であるとして,差額分の賃金支払請求が認められた事例
4 第2 次受入機関がしたパスポート及び通帳の保管等が不法行為に該当するとされた事例



●東栄衣料事件

2012年2月●日福島地裁白河支部
2012年12月27日仙台高裁
(事案の概要)
◆外国人技能実習生で、後に技能実習生となった原告らが、第二次受入機関かつ実習実施機関であった破産会社の被告会社破産管財人に対し、原告らの労働者性を主張して未払賃金の支払等を求めるとともに、劣悪、過酷な環境で酷使されたとして損害賠償等を求め、また、第一次受入機関である被告組合に対し、破産会社と一体となって不法行為に関与したなどとして損害賠償を求め、さらに、破産会社の代表取締役で、被告組合の代表理事でもあった破産者の被告破産管財人に対しても、損害賠償を求めた事案において、原告らの研修期間中の実態は労基法9条等の「労働者」と認められる上、被告会社破産管財人による賃金請求権の消滅時効の主張は信義則に反し、権利の濫用であるとして、労基法等に基づく賃金支払等を認めるとともに、労基法等に反する条件での労働を余儀なくされた点で原告らは人格権を侵害されたなどとして、損害賠償も一部認め、また、被告組合及び破産者につき共同不法行為の成立を認め、被告組合らに対する損害賠償請求も一部認容した事例
◆外国人研修制度の技能実習生として来日し、後に技能実習生となった原告らが、第一次受入機関である被告組合の役員であった被告らは、第二次受入機関である破産会社の代表取締役かつ被告組合の代表理事であった破産者と共謀して同人の行った不法行為に加担したことは不法行為に当たり、また、役員としての任務を懈怠したと主張して、損害賠償を求めた事案において、本件では、被告らの作為又は不作為に不法行為法上違法なものはないといえ、また、被告らが被告組合の役員であるとは認められないから、被告らに対する請求は理由がないとして、請求を棄却した事例
◆第二次受入機関が外国人技能実習生に対して看過することができない重大な不正行為を行っており、第一次受入機関がこれを認識し、客観的に当該不正行為を抑止し、解消することができる立場にあるという特別な事情が認められる場合には、第一次受入機関が行う監理の在り方に関する諸規定があることと相まって、条理上、第一次受入機関には、第二次受入機関を調査して不正行為を抑止するとともに、不正行為がある旨を地方入国管理局長に報告すべき作為義務があると解され、これに違反した場合には、技能実習生の人格権を侵害するものとして不法行為法上違法であるとされた事例
(裁判所が認めたこと)

●広島貯金旅券強制管理事件

2012年11月28日広島地裁
(事案の概要)
・不当利得
・不法行為
(裁判所が認めたこと)
●他にも、弁護士が介入して交渉をしたり、訴訟に至っても和解で解決したりした事件が多数あります。